◆ジギングとは
◯ターゲット
オフショアジギングで狙う水深は幅広く、20mほどしかない湾内のライトジギングから、200mを超す沖のディープ層までと様々。
主な対象魚はブリ、ヒラマサ、マダイ、カンパチ、サワラ、シーバス、タチウオと船釣りの人気魚のほとんどがターゲットとなる万能的な釣り方だ。その中でも青物狙いに人気が高く、ヒラマサやカンパチなど大型でパワーのある魚が好まれている。
使用するルアーはメタルジグと呼ばれる、細長く鉛やタングステンなどで作られたルアーだ。素早く深くまで沈めることができ、手返しの早い釣りをすることが可能だ。
◯船上での基本
船は岩礁帯など魚が生息しているエリアを流しながら釣るのが基本。このため、他のアングラーと同重量のメタルジグを使う。船長からの指示があればそれに従うようにしよう。好き勝手に重量を変えた場合、潮の流れによっては沈む角度が大きく変わるため仕掛けが絡んでしまうので注意。
メタルジグは船の真下に落として巻き上げてくるやり方と、キャスティングして探る方法があるので、ポイントに着いて狙い方がわからないときは船長に聞くようにすること。
◯狙う水深
基本はボトムまで落として船長から指示のあったタナまで狙い、アタリがなければ再度ボトムまでメタルジグを落としての繰り返しだ。ロッドをシャクリながらリールでラインを巻き取る作業を早い動作で行うため、オフショアルアーでもかなりヘビーな釣りとなる。
とくに初心者は、要領を得るまではその日のうちに筋肉痛になってしまうこともあるほどなので、始めるならまずは近海で水深100mくらいまでを狙うライトジギングがおすすめだ。
◯キャッチ
魚が掛かり船縁まで浮かせたら、通常は船長やポーターがタモで掬ってくれる。船が混み合っている場合は隣との距離が短く、魚が暴れてラインが絡むこともあるので、避けるようにしよう。自分が掛かった場合もできるだけ絡まないように素早く取り込むように心がけよう。
同時に掛かった場合、タモが間に合わないこともある。この場合は近くの人がヘルプするのが望ましい。お願いされたときに慣れていないことを伝えておくと失敗しても気難しくならないだろう。
大型魚の場合はギャフを利用することもある。理想はエラの後ろ付近だが、どこかに掛かれば外れにくいので、魚がおとなしくなった瞬間を見計らって一気に掛けるようにする。
◆ロッドセレクト
◯まず揃えるなら
いきなり200mラインを流すジギング船に乗るのであれば別だが、沿岸の100mくらいまでの海域で釣る場合は、メタルジグも130gくらいまでがマックスだと考えていいだろう。このように使用するメタルジグのMAX重量がロッド選びの基準となる。
釣り竿のほとんどは、使用するラインの号数(太さ・強さ)と、ルアー(オモリ)で選ぶことができるようになっており、ロッドや説明書に明記されている。ルアーウエイト・マックス150gクラスのロッドをまずは揃えよう。
◯ロッドのテーパーによる違い
テーパーとは魚が掛かったときやオモリを付けた際のロッドの曲がり具合(調子)のことだ。これに加えてルアーロッドにはL(ライト)やM(ミディアム)などの表記があり、こちらはロッドの硬さ(アクション)を表している。
少しややこしいが、アクションはロッドがどの部分を中心に曲がるかで、硬さはそのロッドのシリーズやメーカーの基準号数だと考えればいいだろう。
ジギングの場合、重いメタルジグを操作するわけだから、硬いロッドでガンガン操作したほうがやりやすそうに思えるが、硬すぎるとメタルジグが暴れすぎて魚に食わせるタイミングを与えなかったり、余計に疲れてしまうことがある。できれば使用するメタルジグに合わせてロッドも替えたいところだが、実際にはそうはいかないので、最初に購入するならファストテーパーがおすすめだ。
理由は、先調子のほうが比較的アタリを取りやすく、メタルジグの操作も行いやすいからだ。慣れてくれば自分のスタンスがはっきりしてくるので、好みに合わせて買い直せばいいだろう。まずはメタルジグの動かし方を体感しやすいものを選ぼう。
◯長さを選ぶ
ジギングロッドはオフショアルアーの中でも短い部類に入る。これはルアーの操作をメインに考えているからで、疲労度を考えても短いほうが断然有利だ。
しかし欠点も多く、短い分小さな動きがメインになり、魚とのやり取りではロッドの反発力があまり活かせないためラインに負担が掛かりやすい。取り込み時も船の下に魚が潜り込んでしまった場合、通常はロッドを海中に差し込んでラインブレイクを交わすのだが、短いとやりづらいということもある。
このような利点と欠点から、ロッドの長さは6〜6・5ftクラスが好まれているようだ。
◯ガイドを確認する
オフショアジギングで使うメインラインのほとんどがPEラインなので、ロッドはそれに対応したガイドが当然セットされているが、ガイドにもグレードがある。当然価格の安いロッドほどグレードが下がる傾向にあるため、購入する際は確認しておこう。
◯リールシートを確認する
リールはスピニングリールとベイトリールの2種類がオフショアジギングで使われるため、ロッドも2種類存在する。リールの使い分けは後に説明するが、ロッドを購入する際は間違えないように気をつけよう。リールの取り付けはもちろんできないが、ガイドのセッティングやガイド自体が違うものもあるので流用はできない。
ロッドの硬さ選びは、自分の体力も考慮しておきたい。
◯ロッド選びの手順
①予算を決めて、各社のロッドを比較検討。釣具店に行き、オフショアジギングロッドコーナーをチェック。
②使用するジグウエイトをチェック。通常は○~○gかマックス数値が表記されている。
③対応ライン表記をチェック。PE○~○号(lb)と表記されているが、ジグウエイトがマッチしていればほとんど問題ない。
④店員さんに頼み、実際にロッドを曲げて調子を確認する。個人差やテクニックによって大きく好みが変わってくるが、わからない場合はジグを感じやすいファストテーパーがおすすめ。
⑤気に入ったロッドにシリーズがある場合は、硬さで分けられていることがある。メーカーのカタログを見ればどんな釣りに適しているのか書いてあるのでチェックしておこう。
◆リールセレクト
ジギングでのリール選びの基本は、ドラグ性能と耐久性。ドラグがスムーズに出て、なおかつしっかりと締まるもの。魚が一気にラインを引き出したときスムーズにラインが出ないとブレイクしやすくなる。また、やりとり中はロッドガイドやリールのラインローラーでPEラインに摩擦熱が発生して切れやすくなるため、ラインローラーも重要となる。
耐久性については、ギアが破損したりリールハンドルが折れることも珍しくないほど酷使するため、予算が許す限りグレードの高いものを選ぼう。できれば予備を持って行きたいところだ。
◯スピニングリール
船釣りのほとんどがベイトリールを使うが、ジギングやキャスティング、一つテンヤではスピニングリールが活躍する。初級者にも扱いやすいので購入するならスピニングをすすめる。
利点としてラインの放出がスムーズなためキャスティングしてもトラブルが少なく、ルアーを素早く沈めることができる。また、ラインの巻き取りも速いため広範囲を探る場合は手返しが良い。
ドラグ調整も細かに設定でき、不意の大物とも対峙しやすい。
最大の欠点はラインがヨレやすいことだ。PEラインや細いラインを使用しているとさほど気にならないが、ナイロンやカーボンの太号数を使うとヨレが激しく、ルアーが海中で無駄な回転をすることになる。もちろんトラブルも起こりやすくなる。
スピニングリールにはスプールの互換性やカスタムパーツが多く販売されており、自分好みの仕様に変更することが可能だ。
◯ベイトリール
船釣りは深い場所を狙うため、通常は糸ヨレが少ないベイトリールが向いている。ジギングの場合はベイトリールの細かな性能を重視して使用されるケースが多い。
その機能の代表として、クラッチによる巻き上げ&フォールの素早い切り替えが可能なところだ。浅い海域や同じレンジを繰り返し探るのに適している。
また、細かな巻き取り性能で使い分けることもある。スピニングリールに比べて巻き取り量の少ないものを選び、ワンピッチのジグの動きをセーブしながら狙うときに重宝する。
欠点はキャスティングに向いていないところ。慣れないとバックラッシュを起こしやすく、スピニングに比べて飛距離は劣ってしまう。
ペイトリールを選択する際、巻き上げ量にも注意すること。ハイギア仕様も多く発売されているので、釣り方に合わせて選択しよう。
◯リールのサイズ
対象魚によってリールのサイズも変わってくる。リールの場合、大は小を兼ねることも可能なので大きいリールでもいいのだが、疲れを抑えるためにもできるだけ小型で軽量なものが望ましい。
リールのサイズに一番影響するのがラインの太さと必要な長さである。大物狙いを除き、ジギングではPEラインの3号以下でほとんど対応可能だ。
水深150mくらいまでを狙う場合でも、潮の流れでラインは斜めになるので200mくらいまで狙えるようにしておき、魚に走られたことも想定して最低でもPEラインの長さは250mは必要だ。これに、ラインブレイクやトラブルを考えると300mのPEラインをリールに巻いておけば安心ということになる。
リールは3号のPEラインが300m巻けるサイズが使えるということになる。リールの番数はメーカーによって違うので、かならずスプールの糸巻き量を確認してから購入すること。
これで一般的な海域でジギングをするのに適したリールサイズを選べるが、魚の大きさに合わせたリールサイズも考えなければならない。リールのサイズは大きくなるほどハンドル1回転のライン巻き取り量が多くなる。つまり小さいリールほどラインを回収するのに労力を費やすということだ。大型魚とのやり取りでは、一気に数十m走られることも珍しくなく、ラインの回収速度が重要になることも多いことから、大型でパワーのあるリールを使用する。自分が行く釣り場の状況(水深・魚種)を確認して、最初の1台を購入しよう。
◯ギア比を選ぶ
リールに搭載されているギアにはいくつか設定がある。それぞれの性能を知っておき用途に応じて使い分けると便利だ。オフショアジギングで好まれるのは巻き取りがスムーズに行えるパワーギアなどだ。
・パワーギア/汎用性が高いノーマル仕様。
・ハイギア/巻き取りスピードを活かしたハイテンポな釣りに向いている。
・エキストラハイギア/巻き取り量は多いが他のギアに比べて巻き取りが重いためキャスティングゲーム向き。
◯ドラグの調整
ドラグとはリールからラインを引いたとき、ラインが出るように調整できるリールの機能である。ドラグを調整することで、使用しているラインが切れそうになったら、リールスプールが自動で逆転してラインを出してくれる優れものだ。スピニングリールはフロントに、ベイトリールはハンドル付近に取り付けられている。
大きな理由はラインブレイクを阻止するためだが、無理に魚と引きあうとフックが刺さった穴が広がったり、口が軟らかい魚を狙うときはゆるく設定して口切れを防止する効果も得られる。ただし、ラインに手を添えていていきなりドラグを引き出す力が加わった場合、手が切れてしまう恐れがあるので注意が必要だ。
まず使用するラインの強度を調べる。パッケージやカタログに直強力やkgfなどとして表記されている。例えば10㎏と書かれていた場合、PEラインのドラグの設定は1/5〜1/4を目安にするので、2〜2・5㎏ということになる。
ではどうやって測ればいいかだが、図のようにタックルをセットして行うのが一番。こうすればロッドガイドの摩擦抵抗なども加わるため、より実際に近い数字が出せる。専用のドラグチェッカーも売られているので、使ってみるとよい。
◯強度・耐久性が大切
ハードな釣りの部類に入るジギングでは、リールの耐久性も重要となる。ハイスピードで巻いてギアに負担を掛けたり、魚の走りを強引に止めるためドラグ性能を目一杯使ったりとリールを酷使する釣りだ。
このため、剛性が不充分なリールでは釣りの最中にギアが破損したり、ハンドルが曲がったりというトラブルも珍しくない。突然のトラブルは最上位機種を使用していても避けられないが、やはり値段が上がると性能だけでなく耐久性もアップすることを知っておこう。できれば、予備のリールを持ち込むのが理想なので、いきなり上位機種を買うよりは、ミドルクラスを2台揃えるくらいのほうがいいだろう。
水で丸洗いできるリールも増えており、以前よりメンテナンスは楽になっている。ただし、定期的にオイルやグリスを塗布しなければ、表面だけきれいになるだけだ。各社から専用の油が発売されているので釣行後は手入れを怠らないようにいしよう。
◆メインラインを決める
◯PEラインとは
細いポリエチレン(Polyethylene)繊維を複数合わせて編み込んだ「マルチフィラメント」。対して、ナイロンラインやフロロカーボンラインなどの単線ラインを「モノフィラメント」という。
◯主流はPEライン
PEラインが普及してからは、ジギングのメインラインはほぼPEラインとなった。他のラインに比べて伸縮率が非常に低く、ロッドを軽く操作するだけでジグを思い通りにアクションさせることが可能だからだ。
ラインの感度もよく、ラインが張った状態のジギングでは特にアタリが取りやすいといっていいだろう。しかし、PEラインは緩んだときの感度は他のラインよりも劣っている。フォーリング時などにアタリを取りたい場合は、少しテンションを掛けながらジグをフォールさせるといいだろう。
100mごとの連結と、200m以上の単品が発売されているので、使用する長さに合わせて選択しよう。PEラインであればどれでも使用出来るが、専用に設計されたラインのほうが使い勝手は向上されている。
◯カラーの活用
スピニングリールを使用していると、どのくらいラインを放出したのか(どのくらいの水深を狙っているのか)分かりにくい。その点、ベイトリールにはカウンターが付いているものもあり便利だ。
これをより分かりやすくするためにPEラインには色分けされているものがある。商品によって違うが、10mごとや25mごとに色分けされたラインをカウントし、現在どのくらいのタナを狙っているのかを把握することができる。
◯太さを決める
社団法人日本釣用品工業会により、ナイロンライン、フロロカーボンライン、PEラインの号数が制定されている。この号数の基準は素材の重さからきているため、強さを表したものではなく、均一な標準直径を目指したという意味が大きい。ちなみに均一な標準直径は、ラインの強さを生むためである。ラインの太さが均一でないと切れやすくなる。
ラインの表記にはもうひとつ、「lb」と書かれているものがある。これはポンド(重さ)を表す記号で、1ポンド0・45359237㎏という計算になる。つまり10lbだと約4・5㎏まで耐えられる計算になる。
使用する釣り糸の号数を決める場合、魚の大きさに合わせた釣り糸の「強さ(直強力)」と、「長さ(水深・飛距離)」などを考慮して選ぶのが一般的だ。
しかしその都度メインラインを変更するのは経済的にも好ましくない。ほとんどの場合、自分が釣りをする平均値で使っていることが多いようだ。
◯長さを決める
PEラインにはパッケージ単品で売られているものと、100mごとに巻かれたスプールが連結されて販売されているものがある。
連結のラインを購入する場合は、1スプールごとの販売になるので、ほとんどが100m単位となる。店員さんに声を掛け、必要な長さをカットしてもらおう。
問題の必要な長さだが、船長に確認しておかないと自分だけラインの長さが足りないということにもなりかねないので、必ず聞いておくこと。また、長さが少しだけ足りないからといってPEライン同士を途中で繋ぐのはトラブルの原因になるのでやらないこと。
PEラインには、水深が分かりやすいように等間隔でラインの色を変えたり、マーカーが付いているものが発売されているので、スピニングリールを使う際には活用しよう。
【ラインの太さと長さの目安】
シーバス、タチウオ、小型青物、一つテンヤなど
号数:PE0.6~1.5号
巻量:200m
中型青物(5kg以下)、深場のタチウオなど
号数:PE1.5~3号
巻量:200~300m
青物(10kgクラス)など
号数:PE3~4号
巻量:300~400m
◯4本縒りと8本縒り
マルチフィラメントであるPEラインには、4本で縒ったラインと8本のものがある。当然8本で縒ったほうが強く、細かな編み目になるので滑り性能も良い。
できれば全て8本縒りを使いたいくらいであるが、4本縒りに比べて価格が高いのが難点だ。8本縒りを使いたい理由はその強度にある。同じ号数でも強度が高いため、ワンランク細い号数のPEラインが使える。細いラインのほうが空中・海中ともに抵抗が少ないため、より遠くへルアーを飛ばすことができ、より早くルアーを沈めることができるからだ。
釣りの上級者ほど細いラインを好む傾向にあるのはその理由で、細いラインのほうが使いやすいからだ。ただし、大物を狙う船釣りの場合、無理に細いラインを使用するよりも確実に魚が獲れるライン選択が王道だろう。
ささくれたりダマになった部分は強度が下がってしまう。ダマを強く引いてほどいても、その部分がささくれやすい。
◯PEラインの欠点
ジギングに最適なPEラインだが欠点もある。最大の欠点は耐熱性だ。細いポリエチレンを編み込んだラインのため、摩擦で劣化し強度が低下してしまう。特にリーダーラインとの結節時の摩擦にその現象が起きやすい。
このため、ラインの結節方法が様々な釣り人から考案されており、多くの種類が生み出されているのはそのせいだ。最初は本書籍に掲載されているPRノットがおすすめなので、マスターした後は他のノット方法も試してみるとよい。
また、ナイロンやフロロカーボンラインに比べて交換頻度が少ない釣り人も多いようだ。他のラインよりも値段が高いということもあるが、思ったよりロッドガイドやリールのラインローラーの摩擦で劣化していることも多いので、毛羽立ったり潰れて変形していれば交換したほうがいいだろう。
次に欠点となるのがしなやかさ。そのおかげで巻きグセが少なくスピニングリールでも使いやすいという大きな利点はあるが、縺(もつ)れたり絡んだりすると解くのが困難だということ。結びコブができやすく、解くことができてもその部分の強度が弱くなっていることが多い。また、ロッドガイドに絡みやすいこともあり、絡んだまま巻いたりキャストするとラインブレイクしてしまうので注意が必要だ。
◆リーダーラインをセットする
◯なぜ必要なのか
メインラインにPEを使い、わざわざその先端にリーダーラインを結ぶのはなぜか。全て同じラインでいいのではないかという疑問もあるはず。
まずメインラインがPEの場合、瀬ズレや魚の歯・ヒレ・エラなどで擦れて切れる確率が高い。なので先端にPEラインよりも強いフロロカーボンやナイロンをセットする。
逆にメインラインにPEラインを使わない場合、スピニングリールでは巻き癖がつきやすいため、釣りにくくなってしまう。
以上の理由から、PEライン+リーダーラインのラインシステムを採用しているのだ。
◯ナイロンとフロロ
リーダーラインは、フロロカーボンとナイロンのどちらも使われている。好みと言ってしまえばそれまでだが、まずはフロロカーボンラインを選択するといいだろう。
フロロカーボンラインの特長は、摩擦に対して強いことと、吸水性が低いため劣化が遅いということだ。根のきついポイントや歯の鋭い魚を狙うときに重宝される。
ただし、細い号数ではあまり気にならないが、太号数になるとキンク(折れ)部分から切れやすくなったり、ノット部の締め込みが上手くいかないこともあるので、締め込みは充分に行う。
ナイロンラインの特長は柔軟性だ。ソフトにジグを操りたいときや他のラインよりも伸縮率が高いため、ショックを吸収したいときに使用する。ただし、熱や摩擦に弱く、吸水率も他のラインよりも高いので、若干の耐久性に劣る。この弱点をカバーしたナイロンラインも発売されているので、必要に応じて使いわけよう。
リーダーラインにはフロロカーボンとナイロン素材のものがある。それぞれの特性を生かして使用するが、ナイロンラインでも強度があるものが開発されている。状況や自分の釣りスタイルに合わせて選ぼう。
また、釣り糸は素材が同じであれば他のジャンルのラインでも基本的に流用が可能だ。
◯太さを決める
リーダーラインは強ければいいというものではない。強くするためには太さも必要になるため、太すぎるとジグの操作に影響が出てしまう。ラインは細いほどジグの動きを妨げずナチュラルな動作をしてくれるのだ。
基本となるリーダーラインの太さはPEラインの2〜3倍の強度。これより弱いものはリーダーラインの役割を果たさないので気をつけること。
もちろん、狙う魚種やサイズによっても号数を使い分けることはあるが、その場合はPEラインの号数も見直すようにしたい。
また、歯の鋭い魚を狙う場合、リーダーラインにワイヤーリーダーを使用する選択肢もあるが、ジグの動きがギクシャクしてしまうのであまりおすすめできない。使うのであればできるだけ短くしたほうが無難だろう。それよりも、リーダーラインの先に、さらに太いリーダーラインをセットしたほうがいいだろう。
◯長さを決める
瀬ズレや魚の歯やエラからのラインブレイクを守ってくれる役目として考えれば、まず釣れる魚よりも長くなければPEラインが魚に触れてしまう。
さらに、船釣りの場合は船縁での魚の格闘も予想される。取り込む際も、船縁にラインが擦れることも多い。このため、海面に魚が浮いてきたときには、リーダーラインがロッドに巻き込んでいる長さが望ましい。
以上のことから、最低でも3m以上は必要ということになる。一般的に好まれる長さは3〜5mだが、根が荒い場所で釣る場合は8〜10mと長いリーダーを好む釣り人も多い。
◯メインラインとの結節
PEラインとリーダーラインを結ぶのが一番厄介に思える人も多いほど、ノット法は慣れが必要となる。一見複雑に見えるのだが、数回結んでその原理とやり方さえ理解できれば、あとは慣れるのみだ。
また、結べたからといってそれで終わりではないのもノットの難しいところ。強度が保たれていなければ「ただ結んだだけ」になりかねない。実際、結ぶと強度は落ちるが、しっかりと結べていればラインが切れる場所はルアーとの結節部からが多い。
専用の器具やプライヤーなどを使ってしっかりと締め込み、特にフロロカーボンラインの場合は締め込みが緩いと隙間ができやすいので注意しよう。
PEラインとリーダーの結節は永遠の課題と言っても過言ではないほど、みんなが悩むところだ。疎かにしていい部分ではない。
ジギング入門(船釣り編)・後編はこちら
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)