ジギング入門(船釣り編)・後編

ジギング入門(船釣り編)・後編
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釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

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釣り方

◆メタルジグの選び方

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◯メタルジグの素材
「メタル」という名称から素材が想像できるが、鉛製を中心に鉄、スズ、アルミニウム、タングステンなどの素材がある。
 様々な素材がある理由はそれぞれの比重にあるが、鋼材の流通に影響されるほど釣りでは「鉛」が多用されてきた。近年では鉛よりも比重が高いタングステン素材も増えてきたが、高価なため手が届かないアングラーも多い。
 逆に鉛よりも軽い比重の鉄やアルミなどを利用することにより、ライトタックルで大型のジグが使えたりと沿岸ジギングでも幅が広がっている。

◯材質と比重
 下図にあるように、素材の違いにより、大きくサイズが変わってくる。イラストは付属品などを計算しない状態なので、実際にはもう少しサイズの差は小さくなる。
 比重の重い素材は小さなメタルジグを早く沈ませて手返しを早く狙うことができる。逆に軽い素材は大きなメタルジグが使えたり、スローフォールで誘うことが可能だ。このように、それぞれの比重を利用したメタルジグが販売されている。

◯サイズと重量選びの基本
 ジギングでもマッチザベイトは基本となるため、その日のベイトによって使用するメタルジグもサイズが変わってくる。
 しかし、オフショアジギングの場合、対象魚や狙う場所によって大きく水深が変わってくる。浅い場所ではさほど問題はないが、深い場所では軽くて小さなメタルジグを使用するにはいくつか難点がある。
 まず、ボトムまで着底させるまでに時間がかかるということ。手返しが悪くルアー釣りに向いていない。
 そして一番の問題が潮流だ。メタルジグ本体はもちろん、PEラインが潮の抵抗を受けて流されてしまう。こうなると着底が分かりづらくなったり、ラインが膨らんで隣の釣り人と絡んだりとトラブルが発生しやすくなる。
 基本の重量選びは水深と同じから2倍の範囲(1m=1〜2g)で良いが、メタルジグの形状やPEラインの太さによっても沈む速度や潮流を受ける抵抗が変わってくるので、馴れるまでは隣の釣り人に重量を合わせるようにするといいだろう。また、船長から指示がある場合はそれに従うことだ。
 基準よりも重い(サイズの大きい)メタルジグを使うこともある。これはその日のベイトサイズに合わせる意味合いが強い。浅場狙いだから軽いジグだけ持っていけば良いということはないので、オールラウンドで狙えるように準備しておこう。

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◯形状を決める
 形状は大きく分けて2種類。
 左右対称形と左右非対称型。前者はテンポよく探るハイスピードジャークや、大きくあおるロングジャークに向いている。後者は片面が膨らんでいて反面がフラットなものが多く、軽いロッドワークでもジグがアクションしやすい。

◯重心を決める
 大別するとフロントバランス、センターバランス、リアバランスの3種類がある。これは重心位置で区別されており、ジグ本来のアクションに大きく関わってくる。
・フロントバランス
 フロントに重心があるため引き重りが少なく、ロッドを軽快に扱いやすい。このため、ロッドワークに敏感に反応してくれるレスポンス重視タイプ。
・センターバランス
 ジャーク後の間でスライドアクションしやすい。ロングジグなどに多い重心。
・リアバランス
 船の下にジグを落として引きながら縦の層を狙う「バーチカルジギング」向き。沈下が速いといわれているが、引き重りする。

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◯カラーを選ぶ
 市販されているルアーのカラーバリエーションは、沿岸部に生息する魚を狙うほど多いのをご存知だろうか。特にバスやシーバス用ルアーはダントツで多い。その理由は水の透明度にある。
 そもそも、フィッシュイーターは魚を食べているわけだから、その魚に合わせたカラーであれば、どんな場所でも食うはずなので、多くのカラーは必要ないはずである。多くのカラーが用意されている理由は、対象魚に見つけてもらえやすくするため、つまり、目立たせるという意味が大きい。
 沿岸や池、河川ほど泥や砂で濁りが発生しやすく、海中の透明度が悪くなる。このためその日に合わせたカラー選択が必要になってくるのだ。
 つまり、沖に出るほど潮の色は安定しているため、カラーバリエーションは少なくなる傾向にある。それでもカラーが用意されている理由は、光量に関係する。
 透明度の高い海では、水深300mほどまで太陽の光が差している。しかし魚は人間には見えない紫外線が見えているため(すべての魚種ではない)、人間よりもはるかにいろいろなものが判別できていることになる。
 ルアーはエサではないため、魚を騙す必要がある。エサと思わせて食いつかせたり、興味を惹いて思わず口を使わせたり(リアクションバイト)という作業が重要になってくる。このため、状況に合わせたルアーアクションやカラーが必要となるのだ。
 具体的な選び方は、当日の潮色や天気を考え、アピール度を決めてルアーを選択する。よくわからない場合は、船長に実績があるカラーを聞くと良い。
 光量に合わせてベースカラーを選択したら、塗装カラーを決める。カラーローテーションをする場合もベースと塗装カラーを考えるとやりやすい。例えば、ショートバイトが続く場合は大きく外れていないと判断し、ベースはそのままで塗装カラーを替えて当たりを探る。一向にアタリがない場合はベースカラー自体を全く替えてしまうという風にローテーションするとわかりやすい。

◆フックセッティング

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 オフショア用のメタルジグは、フックなしで販売されているものがほとんどだ。このため、自分でフックをセットしなければならない。
「アシストフック」をフロントに1本取り付けるのが基本。アシストラインの長さはメタルジグの1/3以内に収める。長すぎるとリーダーやジグに絡みやすくなる。ショートバイトが多発するなど状況によりフロントとリヤの両方にセットすることもあるが、キャスティング時やフリーフォール時に「エビ」状態になることがあり敬遠されがちだ。
 フロントにフックを2本セットする場合は、フッキング時に力が分散されて深くフッキングしにくいので、アワセは力強く数回行うとよい。
 セットするフックサイズは対象魚のサイズによっても変わるが、メタルジグの幅よりも大きなフックをセットするのが基本。メタルジグとフックのバランスが悪いとフックがメタルジグを抱き込んでしまう。
 タチウオ狙いやキャスティングで後ろから魚が食ってくる場合は、リヤにトレブルフックを取り付けるとフッキング率が上がる。

◆狙い方の基本

◯基本操作
 メタルジグをボトムまで落とし、船上までシャクって狙う「バーチカルジギング」が一般的だが、状況によりキャスティングが必要になることもある。
 地域や船により異なるが、ポイント付近に到着すると船を固定せずに流しながら釣るのが一般的。流し方も色々とあり、それに合わせて釣り人も仕掛けを操作しなければならない。逆に言うと、メタルジグがいつも真下に沈んでくれるとは限らないのだ。
 特に潮が速いときなどはそのままジグを落としてもすぐにラインが斜めになってしまうため、潮上にキャストして巻き上げ時にはできるだけまっすぐになるようにするなど、潮の速さと船の流れる速度を計算して釣る必要が出てくる。この辺はビギナーには難しく経験を積むしかない。最初は着底が分からずに根掛かりの連発になるかもしれない。しかし、根掛かりを恐れていては上達はおろか魚が釣れないので、最初は授業料と考えてまずは着底が確実に感じ取れるようになっておこう。

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◯水深と狙い方
 水深の深さでも狙い方は大きく変わってくる。浅い場所ならジグの着底も速いため、キャストして狙えば広い範囲が探れる。逆にバーチカル(縦方向)に狙うと狙える距離が短くなってしまう。これは船を流す時間にも関係しており、一流しが短い距離で行われるときは、できるだけジグを水中に入れておきたいからだ。
 しかし、魚礁やピンポイントの岩礁帯を狙う場合、キャストしてしまうとポイントから外れてしまうので、船長の指示や水深を聞いてから狙うこと。
 逆に深い場所を狙う場合、キャストしたのでは着底するまで時間がかかり、ラインの抵抗などで手前に戻ってきてしまう。つまり、水深が深い場所を狙うときは重いジグで一気にボトムを探ったほうが効率が良いということだ。
 バーチカル・キャスティング共に船の流し方にも大きく影響されるので、初めて乗船する船では常連さんを真似するのが手っ取り早い。

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テイリング(エビ)状態。これでは魚は食ってこない。深くや遠くを狙っているときはかなりしんどい。

◯キャスティング
 通常、キャスティングというとオーバースローを想像するが、オフショアジギングの場合はアンダースローが定番だ。理由はメタルジグが重いということと、安全性を考慮してのこと。特にミスキャストは危険で、フックが刺さると病院行きとなるので注意しよう。
 もう一つの注意点がドラグの緩みだ。キャスト時にドラグが緩んでいるとラインが出てしまい、添えている指を切ってしまうからだ。重いジグに替えた場合は、必ずドラグのチェックをするように心がけよう。

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◆リールとロッドの操作

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 ジギングの基本は「ワンピッチ・ワンジャーク」。まずはこれをテンポよくできるようになることだ。規則正しいジグの動きは、意外と結果がついてくるものだ。これを基本にしてリーリングスピードやタイミング、ロッドアクションの大小を変えて自分なりのヒットパターンとなるコンビネーションジャークを作っていく。
 ここで気をつけたいのがリールの巻き取り性能とロッドの長さ。巻き取り量の違うリール、長さが違うロッドのどれを使っても同じようにアクションすると、ジグは違う動きをしてしまう。逆に自分のテンポを変えないでいいようにこれを利用する場合もある。
 もうひとつ、ロッドの柔らかさ。感じる以上にロッドがアクションを吸収していることが多く、見た目以上にジグが動いていないということ。ジグが見える範囲で確認しておこう。

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◆ジャークの長さ

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 沿岸のライトジギングではショートジャークが主流であるが、状況や魚種に合わせてジャークの長さを変えることで釣果が変わってくる。基本はストロークのメリハリ。バリエーションを豊かにするためにも、ジャークの長さを意識しておこう。

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◯ロングジャーク
 PEラインが普及する前はこちらがメインだった。伸びがあるナイロンラインなどを使用していたため、大きくロッドをあおらないとジグが動かなかったからだ。
 しかし、目が良いと言われるヒラマサやマグロ狙いではPEライン使用時でもロングジャークが有利。長い距離を速い速度で動かすためルアーを見切られにくい。このことから透明度が高い海域でも有効で、シビアな状況でも魚のスイッチが入りやすくなる。
 また、広範囲を早く探るときにも効率がよく、浅場でのキャスティング、深場の長距離、サーフェス狙いでも活躍する。
 ロッドは長いほうが有利となるが、自分の体力と相談して決めたほうがよい。使用するジグは抵抗が少ないストレート系がおすすめ。ジャークの距離も大切だが、ジグを引くスピードも重要なので形状や重心にはこだわりたい。


◯ショートジャーク
 伸縮の少ないPEラインを使うことで可能となったメソッド。ロッド操作でキビキビとジグを動かせるため、短い距離で何度もアピールが可能だ。
 根についた魚で遠くまでルアーを追ってこないときや、海の透明度が悪く遠くまで見えないときに有効な釣り方だ。
 カンパチ狙いにも多用されるが、沿岸の比較的濁りがある海域ではほとんどで通用する。
 リズム感が重要で、ギクシャクしたジャークになると無駄な体力を消耗して、釣行後半ではなまくらなジャークになってしまうので注意。ロッドを小脇に抱え肘から先の上下運動でリズムよく行うのがコツだ。
 ロッドも短いほうが扱いやすく長いと疲れやすい。6ftくらいまでのロッドがよく、ベイトリールもテンポが崩れにくいのでおすすめだ。
 使用するジグは左右非対称型がおすすめ。短いジャークでも大きくアクションしてくれるからだ。ただし高速ジャークを多用する場合はストレートタイプがあると引き重りがなく重宝する。

◆ジャークの速さ

 ジャーク(jerk)とは「引っ張る」という意味で、ここでは引っ張る速さのことだ。勘違いされやすいのがショートジャークやロングジャークのようにロッド操作だと思われることで、本来はリールを巻く速度のことになる。
 魚の活性に合わせた速度が必要となるので、一日の中でも速度を変えながら狙うのが普通だ。

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◯速いジャーク
 俗に高速ジャークやジャカジャカ巻きと言われるもの。とにかくジグの移動を速くするように心がけるため、ジグ自体のアクションは乏しくなる。
 これを補うためにジグは左右非対称型を多用してイレギュラーなアクションで魚を誘う。
 操作はかんたん、ロッドとリールを交互に回すようなイメージでひたすら動かす体力勝負だ。
 ショートバイトが多いときはスピードを緩めたり時折ポーズを入れてもよく、その瞬間にバイトすることも多い。
 アクションが激しいためジグがエビになりやすいので、多発する際はフックシステムやジグの重心を変えたり、スピードを緩めてみよう。

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◯スロージャーク
 速巻きの反対でゆっくりとリーリングして、ジグの縦移動を短くするテクニック。ロッドのシャクリは通常通り鋭く行い、巻き取りをゆっくりにして同じレンジを長く狙いたいときに使え、大型狙いにも多用されるテクニックだ。根魚狙いでも重宝する。

◆フォーリング

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◯フォール時の基本と注意点
 リールのベイルをオープンにしてラインを送りジグを沈めていくが、潮流の影響などで真下に落ちることは少ない。そこで糸フケ(スラック)を多めに出して速く落とそうとする釣り人を見かけるが、オフショアジギングでやるとラインが海中で放物線を描き、底取りがわかりにくくなるのはもちろん、オマツリや根掛かりが頻発してしまう。ジグが落ちる速度に合わせてラインを出すのが基本だ。
 しかし、速い潮流の場合はジグは真下に落ちようとしていても、ラインが流されてしまうこともある。こういう場合は時々リールスプールに指を当ててラインにテンションをかけ、ラインをできるだけ真っ直ぐになるよう修正しなければならない。まして二枚潮にでもなっていようならなおさらである。
 ラインが途中から向きを変えたり、いつまでたっても着底が分からずにラインを放出し続けることになる。

◯フォールの目的
 第一の目的はボトム(狙いのレンジ)まで沈めることである。これがスムーズでなければジギングは成立しない。しかし、ただ狙いの水深まで落ちているだけではなく、当然魚がいるレンジを通過しているのだ。
 このチャンスを活かすか殺すかでも大きく釣果が変わってくる。といってもなにか特別なことをするのではなく、休まずにロッドを持ってバイトを感じ取ることと、適度にラインにテンションをかけておくことだ。PEラインは緩んでいるとバイトが伝わってこないので注意だ。

◯フリーフォール
 ほったらかしでフォールさせるのではなく、前述したようにできるだけラインが膨らまないようにジグを落としていく。

◯カーブフォール
 浅い海域や鳥山などをキャスティングで狙う場合に多用する。ラインを手で止めていると強烈な魚の引きで指が切れる場合があるので、かならずリールのベイルを寝かせておくこと。

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◆リトリーブの活用

 ロッド操作とのコンビネーションでリールを操作することが多いジギングだが、ジグの回収時に魚がバイトしてくることも珍しくない。単純にリトリーブする「ただ巻き」でも魚が狙えるということだ。
 目が良い魚にはあまり効かないが、シーバスやタチウオなど少し濁りがある海域ではミスバイトも少なくおすすめだ。これに時折フォールを加えてもバイト数が向上する。
 さらに、ただ巻き・速巻き・スロージャークなどを織り交ぜれば、独自のコンビネーションジャークが完成する。これがその日のパターンにハマると爆釣するので、いくつか自分のパターンを持っているとよい。

◆スロージギング

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ジャークなどのテクニックはある程度必要だが、よく釣れる人はトラブルが少ないことに注視しよう。特にラインシステムやジグ交換時の「いいかげん」さはご法度だ。

 主流であるハイピッチやハイスピードのリアクションバイトやジグを見切られない狙い方に対して、もっとジグを泳がせて魚に見せ、しっかりと食わせるのがスロージギングだ。スロージャークの進化系といえばわかりやすいだろうか。
 とにかく「スロー」と名が着くと「ゆっくり」と勘違いされやすいジギングテクニックだが、魚に対してスローというのが正解だ。
 ハイピッチでもスローでもロングジャークでもシャクる初速は同じで、その後の操作が違うと考えればよい。
 スロージギングの特徴として、センターバランスの幅広いメタルジグが好まれるという点だ。ジャーク後やフォーリング時にこの形状のジグだと横向きにひらひらとフォールする。
 その光景は弱った魚が動いているように見え、ルアーを見切られることなく魚の食い気を誘うというものだ。
 指定したレンジまでのフォーリングから、コンビネーションジャークで発生させるフォールと、今までは引きの釣りだったことに対して、フォールで食わせる要素が加わったと思えばいいだろう。
 しかしデメリットもあり、フォール速度が遅くなってしまうため、速い潮が流れるときは釣りづらくなる。船内でのオマツリを引き起こすので、身勝手に使用するのは控えること。

◯リーリングアクション
 通常のジギングと大きく違うのが小刻みに行うリーリングだ。短いジグの移動を演出するため、ベイトリールが好まれる。
 まずロッドとラインを直角になるように持ち、リールハンドルを1/8〜1/2素早く回転させ、ロッドティップの跳ね返りを利用してジグを跳ね上げ横向きになるようにする。
 ロッドの操作は動かさないのを基本として、リーリングと合わせて軽くアオったり、リーリングも1回転させたり半回転で止めたりとバリエーションを持たせて狙う。
 キーポイントはジグを跳ね上げたあとに間を持たせ、ジグが横向きになるようにすることだ。たまにロッドを下げて短いフォールを演出するのも有効だ。

◯ロングフォール
 ロッドを下げた状態からゆっくりと頭上まで持ち上げる。このときリールを1回転させながら行う。頭上にロッドを上げてからジグのテンションが抜けたときに、今度はロッドを一気に下げる。
 ラインのテンションを失ったジグは、イレギュラーな動きをしたり、ひらひらとフラッシングしながらフォールする。このアクションが魚を誘い食わせのタイミングとなる。
 このときの注意点はアタリの取り方。テンションをフリーにしているため、もちろんロッドやリールで感じ取ることはできない。海中に沈むラインを観察し、沈みが速くなったり途中で止まるなど違和感があればアワせてみよう。

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チャーター便では仲間内で楽しくやれるが、乗合ではそうはいかない。船長をトップに常連さんを見習うようにするのが楽しむコツ。

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ジギングはリズム感良く行うと疲労を軽減できる。両耳を塞ぐのはおすすめできないが、iPodなどに入れるナンバーは、違うアーティストもしくは別のジャンルを選曲したい。

◆電動ジギング

 電動リールはエサ釣りで主に使用され、深海釣りやウキ流し釣りで重宝されてきた。発売当初は糸巻き量が多い大型のリールが主流だったが、近海でのライトタックルが主流になり、小型でハイパワーの電動リールが開発され続けている。
 このことでジギングでも使える電動リールが出てきた。ネックとなっていたのは巻き上げ力であったが、ハイスペックなものは人間の力よりも高い性能を持っている。
 さらに巻き上げ速度や巻き上げ時のテンションの設定が変えられるなど多機能さもあり、バラシの軽減にも繋がっている。
 しかし電動リールならどれでも使えるというわけではない。前述のようにパワーと高いドラグ性能が必要となる。両性能が低いものだと、ドラグが締まらず大型の魚がくるとラインの放出が激しくなる。また、巻き上げ時も手動で巻くことになったり、高速でジグを巻き上げるのもままならなくなってしまう。購入時は下調べしておこう。
 基本の釣り方は、電動リールを早巻きに設定し、そのままロッドをシャクるだけだ。ロッドを手持ちではなく、ロッドホルダーを取り付け、セットして行なっても良い。魚が掛かったときも早巻き状態になっているため確実にフッキングしやすい。
 巻き上げはロッドを立て気味にしてロッドの弾性を充分に活かしながら巻き上げてくる。
 電動リールを使うことで、女性や子ども、高齢者までジギングを楽しむことができるのはもちろんだが、深海のジギングでも体力を切らすことなく最後まで楽しめるのが魅力だ。特に回収時の巻き上げは楽ちんである。

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小型化が進んでいるとはいえ、通常のリールに比べてひとまわり自重もサイズも大きい。ドラグ力も重要度が高いので、購入する際はよく行く釣り場に合わせて性能を決めよう。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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