チョイ投げ釣りの魅力
「チョイ投げ釣り」は、本格的な投げ釣りとは一線を画す、ビギナーにオススメの釣り。何が釣れるかわからないワクワク感も、この釣りのおもしろさだ!
チョイ投げというのは、小さなオモリのついた仕掛けを軽く投げて、海底を探りながら釣る方法。堤防では近場に食い気満々の魚たちが潜んでいるので、ほんの20~30mほど仕掛けをチョイ投げするだけでも好釣果に結びつくことが多い。釣れる魚も、人気のシロギスをはじめとして、イシモチ、アイナメ、カワハギ、メゴチ、ベラ、カサゴなど、じつに多彩。仕掛けの投げ方は10分ほど練習すればだれでもマスターできる点も、初心者には魅力的だ。
チョイ投げ釣りの主な対象魚
【シロギス】チョイ投釣りの人気ターゲット。初夏〜秋が釣りやすいが、場所を選べば一年中狙える。チョイ投げで釣れるサイズは15〜20センチがアベレージ。刺し身や天ぷらなどで美味。
【イシモチ】漁港や河口の堤防などで、年間を通して釣れる。海に濁りが入ると群れで接岸してくるので、爆釣することも珍しくない。サイズは20センチ前後で、ときには30センチ超も竿を引き絞る。
【メゴチ】シロギス釣りの外道(本命以外の魚のこと)とされているが、そのおいしさはシロギス以上とも言われる。体表にネバネバした粘膜を持つので、魚バサミを使って持つと良い。
【ベラ】ベラにはいろいろな種類がいるが、写真は「キュウセン」という種類。関東では狙う人が少ないが、西日本では高級魚扱いされている地域もあり、美味な魚だ。
チョイ投げが楽しめる釣り場と季節
チョイ投げ釣りは、足場の良い防波堤や岸壁で楽しむのがお勧め。堤防先端や船道、海藻帯などの好ポイントが多いので、砂浜で遠投する本格的な投げ釣りよりも釣果が良かったりするのだ。
季節的には、水温が上がって多くの魚たちが接岸してくる春~秋が釣りやすい。とくに、シロギスは初夏以降になると水深1~2mほどの港内の浅場で爆釣できることも少なくない。一方、低水温を好むアイナメやイシモチなどは、秋から冬にかけてが好機になる。もっとも、これらの傾向はあくまでも目安で、地域によって、あるいは年ごとにシーズンが変化することも多い。
使用するタックル
【竿&リール】
この釣りでは仕掛けを軽く投げるだけでいいので、本格的な投げ釣り専用の竿は無用だ。お勧めなのは、長さ2m程度の軽量なルアーロッド(写真左)。竿先が軟らかめのものを選ぶのがコツだ。また、コンパクトロッドと呼ばれる振り出し式の竿もよい(写真右)。持ち運びが便利なので、電車で釣りに行く人にも人気だ。
いずれも、リールは「スピニング」と呼ばれるタイプの小型のものをセットする。これなら、サビキ釣りやルアー釣りなどと共用できて便利だ。
釣具の量販店では、竿とリールを組み合わせた「チョイ投げセット」も販売されているので、予算に応じてこれらを選ぶのもよいだろう。
リールに巻くライン(ミチイト)は、ナイロン製の2号が使いやすい。ある程度張りがあって、トラブルが少ないのがメリットだ。
また、リールの扱いに慣れてきたら、PEラインと呼ばれる伸びにくいイトを使うのもお勧め。非常に感度に優れているので、ナイロンラインではわからない魚の反応や海底の起伏などが圧倒的な体感でわかるようになる。太さは0.6~0.8号ほどの細めのもので強度は十分だ。ラインが細くなれば、キャスト時の飛距離が伸び、潮流の影響を受けにくくなるメリットもある。
リールの購入時にラインも一緒に買えば、釣具店でラインを巻いてくれる。長さは150mを目安にしよう。
チョイ投げ釣りの仕掛け
一般的な投釣りの仕掛けでは、「テンビン」と呼ばれるパーツを使うことが多い。チョイ投げ釣りでも、シロギス用などの小型テンビンを使うと仕掛けの絡みを防ぐことができる。オモリはナス型の3〜5号をセット。テンビンとオモリが一体化した「テンビンオモリ」を使うのも方法だ。
テンビンの先に付ける仕掛けは自作もできるが、最初は写真のような市販の完成仕掛けを使うと便利。チョイ投げ用のものなら仕掛けの全長が60cm程度なので、短い竿でも投げやすい。ハリのサイズは5〜7号を目安に選ぼう。
使用するエサ
チョイ投げで使うエサは、ジャリメ(写真)かアオイソメが定番。ジャリメは軟らかくて細いので、シロギスなどの口の小さな魚の食いがいい。アオイソメはクネクネと動きがよく、匂いも強いので魚にアピールしやすい。
エサをハリに付ける方法
ハリにつけるときは、通し刺しにするだけでOK。タラシの長さは、シロギス狙いなら1~2センチが基本
イシモチやカレイなどが釣れるようなら、一匹まるごと付けてみよう
あると便利な道具類
【エサ箱】 エサは購入時のパッケージのままでも使えなくはないが、イソメ類は蒸れやすいのでエサ箱があると便利。木製か二重タイプのプラスティック製がおすすめ。
【魚バサミ】 チョイ投げで何かと便利なのがコレ。本来は体表がヌルヌルしたメゴチやヒイラギなどをつかむ道具だが、ハオコゼやゴンズイなどの毒魚をつかむときにも、これを使うと安全だ。
チョイ投げのキャスト(投げる)方法
チョイ投げの基本であるオーバースローは、10分ほど練習すれば誰でもマスターできる。
まず、リールのベイルを返し、両手で竿を握って頭上に構える。このときのタラシ(竿先からオモリまでの長さのこと)は、20~30センチほどが目安。周囲の安全をよく確認したら、ゆっくり竿を前方に振り出し、オモリの重さを十分に感じた瞬間にラインを放す。タイミングがうまくいけば、仕掛けが前方に飛んでいく仕組みだ(写真)。仕掛けの着水後、海底に到達するまで待ってラインの放出が止まったらベイルを戻す。
仕掛けの誘いの入れ方
投げ釣りでは仕掛けを投入した後、そのポイントでアタリを待つ釣り方(待ち釣り)もあるが、これだとちょっと効率が悪い。チョイ投げでは、仕掛けを手前に引き寄せながら釣るスタイルがオススメだ。これを「仕掛けをサビく」と呼ぶのだが、ポイントを広く探れるうえ、アタリも明確に出やすくなってくる。誘いの速度は、1mを5〜10秒ほどで引いてくるのが目安。アタリが頻繁にあるなら速め、魚の活性が渋そうなら遅めにサビくのが正解だ。
アワセの方法
魚がエサに食ってくると、その動きがラインを通して竿先に伝わってくる。とくに、感度に優れたPEラインを使っていると、「ビンビン!」と明確にその感触を知ることができる。この魚の反応を「アタリ」と呼ぶが、そのパターンは魚種や状況によってさまざま。いきなり、竿先をひったくられるような強烈なアタリが出たかと思えば、その逆になんとなく竿先が重くなった感触がするだけのアタリもある。経験を積み重ねていくことで、こうしたアタリの違いによって魚がどんな状態でエサを食べているのかがわかるようになるが、最初はアタリがあったらしばらく待って、2度目のアタリが出たときに竿先をしっかり立ててみよう。この動作を「アワセ」と呼び、魚の口にハリを掛けるための大切なテクニックとなる。
アワセが成功して竿先に魚の重みを感じたら、そのままリールのハンドルを巻いて魚を寄せてこよう!