キュウリウオ目は、3科22属で構成され、同じキュウリウオ科にはアユ(アユ属)、シシャモ(シシャモ属)、ワカサギ(ワカサギ属)、チカ(ワカサギ属)など、釣りや食用の対象としてよく知られた魚も含まれる。
英名に「Arctic」=北極地方の、厳寒の、と付くように冷水性の魚で、北海道の太平洋岸や噴火湾、オホーツク海の沿岸に分布する。海外では、朝鮮半島以北の日本海北部、およびオホーツク海、カムチャッカ、アラスカ、カナダの北太平洋沿岸、および北大西洋の冷水域に分布する。
キュウリウオ【胡瓜魚】
- 分 類キュウリウオ目キュウリウオ科キュウリウオ属
- 学 名Osmerus eperlanus mordax
- 英 名Arctic rainbow smelt
- 別 名キュウリ、フラルイチェプ(アイヌ語名)
釣りシーズン ベストシーズン 釣れる
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
やや側扁した円筒形の細長い体形で、体色は銀色。背側はやや黄褐色がかっているが、腹側は白色に近い。背ビレの後ろには小さな脂ビレがある。ウロコは円鱗で小さく、側線は体の前方だけにある。
口は大きく、下アゴのほうが出た受け口状で、下アゴには円錐形の鋭い歯が数本ある。全長は20㎝程度までのものが多いが、最大では30㎝ほどに成長する。
シシャモによく似ているが、キュウリウオは上アゴの後端が眼の瞳孔の後縁よりも後方に達すること、下アゴの先端に2~3本の大きな鋭い歯があること、舌の上に数本の犬歯があることなどで区別できる。また、キュウリウオの産卵期の雄は全身に追星が現れ、背側の体色が黒ずむが、シシャモの雄は体全体が真っ黒になる。
沿岸域を群れで回遊し、エビ類を中心とした小型の甲殻類、ゴカイ類、イカ類、小型の魚類などを捕食する。
2歳・体長14㎝ほどで成熟し、晩春から初夏頃に河川を1~2㎞ほど遡り、水深30㎝ほどの砂礫底で産卵する。
産卵は夜間に行われ、産卵が済むと夜明けとともに海へ戻る。産卵数は個体差があるが、概ね40,000~80,000粒ほど。卵は直径1.3~1.5㎜ほどの付着沈性卵で、砂礫に付着する。
3週間~1ヶ月ほどで孵化した仔魚は全長約7㎜で、卵黄を1週間ほどで吸収し、水流に流されて河口域へ下る。稚魚は小型の甲殻類を食べて沿岸域で成長し、1年で体長5~6㎝まで成長する。その後、前述のように2歳になると河川を遡って産卵を行う。
鮮魚の状態ではキュウリのような青臭い香りがするため、この名が付けられた。アユをはじめとして、キュウリウオ科の魚の多くはキュウリやスイカのような香りがするが、とくにキュウリウオはその香りが強い。
漢字でもそのまま「胡瓜魚」の字を当てる。また、アイヌ語名のフラルイチェプは、匂いの強い魚という意味である。学名の「Osmerus」も、匂うものという意だ。
キュウリウオは、北海道各地の港や岸壁などで釣ることができる。釣り方は、サビキ仕掛けや胴付き仕掛けでのミャク釣りが人気だ。
冬期、水面が結氷する河口域や汽水湖では、氷に穴を開けてアイスフィッシングも楽しめる。釣り方はサビキ仕掛けと同様だが、付けエサにはベニサシも使われる。
【ミャク釣り】
ミャク釣りではコマセを使わず、回遊してくる群れを待ち受けて釣るのが基本。この場合、ハリに短くカットしたアオイソメを装餌すると食いがよくなる。基本的にタナ(魚が泳いでいる層)は底付近だが、その日の条件や釣り場によって回遊する泳層が違ってくるため、アタリが出ないときはタナを幅広く探ってみたい。
【ルアー釣り】
キュウリウオは小魚を捕食するフィッシュイーターでもあるので、小型のワームやマイクロスプーン、マイクロバイブレーションなどを使ったルアーフィッシングでも楽しめる。タックルは軽量ルアーをキャストできるメバルロッドなどを流用するといい。
日中でも釣れるが、30cm級の大物を狙うならナイトゲームが断然有利だ。
製品例
ワーム
ミノー
淡泊な白身で、高タンパク低脂肪。香りが気になるときは、数日冷凍すると弱くなる。旬は、産卵前の春とされる。北海道では鮮魚として市販されることもあるが、それ以外の場所では干物で出まわる程度だ。
唐揚げ、塩焼き、マリネや南蛮漬けなどでおいしくいただけるほか、干物にしても絶品。大きなものは開くか3枚におろして、フライや天ぷらにしてもいい。新鮮なものは刺身でも食べられるが、香りにクセがあるために評価が分かれる。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)