お祝いの席にピッタリの華やかさがうれしい
やっぱりマダイは、日本を代表する魚、なんといっても姿がカッコイイ。
それに、鮮やかな赤もめでたさ120%、そしてもちろん、味も抜群だ。
養殖のマダイは市場に広く出回っているが、天然もののマダイは別格。
これほど知られていながら、本当のマダイ(天然もの)はなかなか口に入らないのが現実で、そんな貴重な魚が食べられるのも釣り人の特権。
どう料理してもおいしく、アラやウロコも食べられる。
春と秋のマダイは、脂もほどよく乗っているので、刺身にする場合、皮もおいしく食べられるよう、「湯引き」して使うのがおすすめ。
最近、回転寿司などで人気の「あぶり」も香ばしくておいしいものだ。
それと同じく、さっと熱を通すことで、生とは違ったおいしさが味わえる。
そこで今回は、湯引きした刺身を使った、お祝いやパーティの席にピッタリの一品を紹介する。
マダイのちらし寿司の作り方
マダイは皮と身の間がおいしいところなので、皮目を湯引きした「湯霜造り」にするのがおすすめ。サイズが小さい場合は、切り身を大きく取るため、血合い骨を毛抜きでていねいに抜いておこう。
●材料/3人分
マダイ(25センチ級)・・・・・・1尾
米・・・・・・・・・・・・・・・2合
寿司酢・・・・・・・・・・・・・適量
好みの具・・・・・・・・・・・・適宜
(錦糸卵、キヌサヤ、パセリ、市販のしそ生姜など)
①ていねいにウロコを落とし、エラと内臓を処理したら、頭の後ろに斜めに包丁を入れ、カマ下を落とす。
②マダイはアラもぜひ活用したい。カマの部分を広げてまな板に置いたら、口の中央に包丁を入れて、頭を半分に割る。
③さばき終わった状態。今回の料理では、三枚おろしにした身の二枚をちらし寿司に、アラ(頭と中骨)を潮汁に使用した。
④身を置いたまな板やバットを斜めに傾け、皮目にサッと熱湯をかけたら、すぐに氷水に取って身を締める。皮が縮んで丸まるのをできるだけ防ぐため、腹骨を付けたままにしておくとよい。
⑤腹骨をすき取ったら、切り身を大きく取るため、毛抜きを使って血合い骨を取る。血合い骨が残っていると口のなかで当たるので、ていねいに抜き取ろう。
⑥身は、皮目を活かしつつ、薄めのそぎ切りにする。包丁を寝かせて切り口を大きくすると、切り身を大きくとりやすい。
⑦ご飯に市販の寿司酢を合わせ、しゃもじで切るように混ぜる。つや、照りを出すために、炊き立ての状態で寿司酢を合せること。その後、うちわであおいで寿司飯を冷ます。
⑧寿司飯を器に盛り、その上に、彩のバランスを考えつつ、好みの具とマダイの切り身を載せる。仕上げに、みじん切りにしたパセリと刻み海苔を散らして完成。細切りキヌサヤとみじん切りのパセリは、切る前にさっと湯がいておく。
マダイの潮汁
マダイは、頭や中骨などの「アラ」も、ぜひ活用したいもの。ちらし寿司との相性抜群の潮汁は、上品なおいしさを存分に味わえる。潮汁を濁らないよう上手に作るコツは、煮る前に湯通しすること、水から煮ること、沸騰させないこと、そして、こまめにアクを取ることにある。
●材料/3人分
マダイ(25センチ級のアラ)・・・1尾
水・・・・・・・・・・・・・・・適量
だし昆布(5センチ角)・・・・・・1枚
塩・・・・・・・・・・・・・・・適量
酒・・・・・・・・・・・・・・・適量
三つ葉・・・・・・・・・・・・・適宜
A. 適当な大きさに切り分けたあらは、熱湯でサッと湯通しし、その直後に氷水に取って、残った細かなウロコなどを指先できれいに掃除する。
B. このアラとだし昆布を、水を張った鍋に入れ、弱火で煮る。決して沸騰しないよう、火加減には十分注意しよう。火が通ったら、日本酒と塩をそれぞれ適量入れて味を調えて完成。今回は、さっと熱湯にくぐらせ、氷水に取ったあと、ゆるく、結んだ「結び三つ葉」を添えたが、ユズの皮などをあしらってもおいしくできる。
【料理監修:森山 利也】
千葉県富津市で居酒屋「はいから屋」を25年営み、現在は築地場外市場で曜日限定の店「JOJO BAR」をプロデュース。自ら店に立ち旬の魚や自家製の野菜など、新鮮な食材を使った様々なメニューを楽しめる。
そして包丁捌きの基本や海に関わることを学べるリアル「森山塾」も主宰。
また、ベテランの釣り人として各方面で活躍し、豊富な経験と見識を持つ。
上記は森山氏がビギナーにも無理なく作れるものとして紹介していただいたおすすめ料理だ。
【協力:株式会社 舵社】
参考本:スクラップブック of 釣果料理
http://www.kazi.co.jp/public/book/bk04/5126.html
4人の達人が贈る、全38魚種、144種のレシピを掲載
『ボート倶楽部』の連載や特集記事の中から、さと丸、森山塾長、Mr.ツリック、ウエカツ水産の4人が書いた釣果料理の記事だけを厳選&抜粋して集めた単行本。
釣った魚をおいしく食べる達人たちのおすすめ料理を作れば、みなさんの家の食卓が豊かになること間違いなし。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)