尾頭付きの豪華さがうれしい鯛めし
貴重な1尾をみんなで無駄なく食べるための簡単レシピ
タイの名は、その体形から「たいらうお」と呼ばれていたのが縮まったものとか。いずれにせよ、その風貌と色の鮮やかさは、古来から日本の慶事に欠かせない存在だ。
もちろん食味も最高。最もおいしいとされる桜が咲くころに獲れたものは、「桜鯛」などとも称される。
刺身にするなら、皮目を湯引きして氷で締めた皮霜造りがおいしい。姿よく串をうって焼いた塩焼きもおいしさと風格を兼ね備え、お祝いの席には欠かせない。
頭などのアラも潮汁やかぶと煮などに使える万能の食材だ。
分類学上でマダイの仲間とされている魚は意外に少なく、マダイ、チダイ、クロダイなど10種程度しかいない。ほかのタイは、みんな名前にあやかりたい魚だ。
小型のマダイやチダイ(ハナダイ)は炊飯器で炊くのにピッタリの大きさで、鯛めしにすると最適。
[材料](4人前)
マダイ・チダイ(20cm級) - 1尾
米 - 3合
だし昆布(8cm角)- 1枚
昆布だし - 4カップ
塩 - 適量
醤油 - 少々
三つ葉 - 適宜
さばき方・作り方
豪華な見た目が楽しめるご馳走料理「鯛めし」は、比較的簡単に作れる。冷めてもおいしく、残ったものをおにぎりにするのもオススメ。なお、タイ科の魚は、ウロコが比較的大きく、骨も硬いので下処理はていねいに行いたい。
①ウロコを落としたら、包丁の先に引っ掛けるようにしてエラを取り出す。
②右面(盛り付けた際の裏面)の腹に包丁を入れ、内臓を取り出したら、流水でよく洗い、水気を拭き取る。
③全体にごく薄く塩を振る。この潮の効果で旨味が増す。
④網やグリルを使って、両面を焼く。香ばしさを出すため、焼き色が付く程度までしっかり火を通す。
⑤研いだ米を炊飯器の内釜に入れ、昆布を敷いた上に④を載せる。この昆布は、だしを取るだけでなく、あとで魚を取り出しやすくするためのものである。
⑥色付け程度の醤油を入れ、塩で味を調えた昆布だし(薄めの吸い物程度の濃さ)を張る。魚が水気を吸うので、米の分量プラス1カップ弱を目安とする。
⑦炊き上がったら魚を取り出し、身をほぐす。タイ科の魚は骨が太いので、子どもやお年寄りが食べる際には、ていねいに骨を取り除こう。
⑧ほぐした身をご飯に戻し、混ぜたら出来上がり。盛り付けの際に三つ葉などを散らすとよい。
【料理監修:森山 利也】
千葉県富津市で居酒屋「はいから屋」を25年営み、現在は築地場外市場で曜日限定の店「JOJO BAR」をプロデュース。自ら店に立ち旬の魚や自家製の野菜など、新鮮な食材を使った様々なメニューを楽しめる。
そして包丁捌きの基本や海に関わることを学べるリアル「森山塾」も主宰。
また、ベテランの釣り人として各方面で活躍し、豊富な経験と見識を持つ。
上記は森山氏がビギナーにも無理なく作れるものとして紹介していただいたおすすめ料理だ。
【協力:株式会社 舵社】
参考本:スクラップブック of 釣果料理
http://www.kazi.co.jp/public/book/bk04/5126.html
4人の達人が贈る、全38魚種、144種のレシピを掲載
『ボート倶楽部』の連載や特集記事の中から、さと丸、森山塾長、Mr.ツリック、ウエカツ水産の4人が書いた釣果料理の記事だけを厳選&抜粋して集めた単行本。
釣った魚をおいしく食べる達人たちのおすすめ料理を作れば、みなさんの家の食卓が豊かになること間違いなし。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)