| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
釣りのエサとしてもよく使われる小型の磯エビは、小磯の潮溜まり（タイドプール）などでもよく見られる「イソスジエビ」のことである。魚たちにとっては最高のごちそうなのだが、これを人間が食べても、もちろんおいしい。単に唐揚げにしたりスープの具にするのもいいが、ぜひとも試していただきたいのが〝えびせん〟。おいしく作るにはちょっとしたコツが必要だが、ジュッ！と焼き上げたときの何ともいえない香ばしさは、大人でも十分にそそられるものがある。
この激ウマえびせんを作るためには、新鮮なエビを確保する必要がある。鮮魚店ではめったに売っていないが、自分で採取すればタダだし、もちろん超新鮮だ。ここでは、磯エビ捕りの方法も含めてご紹介していこう！
まず重要なのが、エビを採取するための網。昼間のエビは岩の割れ目や陰に隠れているので、そこを狙うには当然、網の枠は小さいほうが使いやすい。釣具屋やコンビニなどでよく見かける手網（写真上）を買う場合も、できるだけ小さい枠（直径25センチ以下）のものを選ぼう。エビ捕り網に関しては、大は小を兼ねないのだ。その意味で、たまに釣具店で見かける専用のエビ網（写真下）は、枠径が10センチ程度でじつに使いやすい。発見したら、速攻でゲットしておきたい。また、熱帯魚屋で売られている小型ネットも、ピンスポットを攻めるには案外と使いやすいので覚えておこう。
つぎに大切なのが、エビの採取場所。磯エビって、どこにいるんだろう？
通常、磯エビは海藻の繁茂しているエリアに潜んでいることが多いが、こういった場所は水深が深くて網が入れにくい。むしろ狙うべきは、何の変哲もないフラットな岩盤の浅瀬だ。一見、エビなんて一匹もいないような気もするが、そこがエビ捕りの最大の盲点。人間の目には平面に見える地形でも、体長数センチのエビにとっては、ほんの小さなスリット（割れ目）やバンク（傾斜）が十分な隠れ場になっているのだ。そして、そんな場所にいるエビは、エサの捕食のために意外と無防備になっているので、ひと網で数十匹のエビをすくえることもある。見逃さないようにしよう。
ほかに、岩場がオーバーハングになっていたり、ちょっとしたプール状になっているスポットも狙い目。ようするに、エビが隠れられるような暗い場所があれば、チェックしてみる価値大なのだ。
場所さえ間違わなければ、エビの採取自体は簡単。よく、エビの後ろ側から網を入れるといいとか、二つの網で挟み撃ちにするといいとか言われているが、実際には頭からでも横からでも、ひとつの網でも全然問題ない。むしろエビ捕りでは、急激に網を動かさないことのほうが重要だ。これに尽きる。網の動きがスローならエビは絶対に逃げようとしないので、だれでも簡単にすくうことができるはずだ。
1 片栗粉大さじ5にダシの素と塩少々、刻んだエビを混ぜ、水を少しずつ加えながらよく練り合わせる。多少、固めに練るのが成功へのカギだ。
２ フライパンを熱してから軽く油を敷き、１を大さじ一杯ほど乗せて、さらにエビを丸のまま乗せる。この状態で、約30秒ほど弱火で焼く。
3 もう一つ小さめのフライパンを用意し（写真のような親子鍋も使いやすい）、底面に薄く油を塗って熱してから、材料を強めにプレスする。
4 生地が白っぽくなるまで、さらに焼き上げる。このまま食べてもいいが、電子レンジで水分を飛ばすとパリパリの食感を楽しめる。
＊監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
＊編集協力 加藤康一（フリーホイール）／小久保領子／大山俊治／西出治樹
＊魚体イラスト 小倉隆典
＊仕掛け図版 西野編集工房
＊参考文献 『週刊 日本の魚釣り』（アシェットコレクションズ・ジャパン）／『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』（東海大学出版会）／『日本の海水魚』（山と渓谷社）／『海釣り仕掛け大全』（つり人社）／『釣魚料理の極意』（つり人社）
