●手軽に小魚やカニがゲットできるぞ!
「タモすくい」というのは、堤防や小磯などでタモ網(玉網)を使って獲物をゲットすること。主なターゲットはイワシなどの小魚やワタリガニなど。これなら、漁業調整規則にも抵触しないし、だれでも簡単に楽しめるのだ。
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「タモすくい」というのは、堤防や小磯などでタモ網(玉網)を使って獲物をゲットすること。主なターゲットはイワシなどの小魚やワタリガニなど。これなら、漁業調整規則にも抵触しないし、だれでも簡単に楽しめるのだ。
タモ網は、主に釣りで魚をすくい上げるための網のことで、玉網やタモなどとも呼ぶ。タモすくい用には、網の枠径が45センチ、柄の長さが4.5m程度のものが使いやすい。網枠は柄は分割可能で、ともに折り畳み式なので意外とコンパクトに収納できる。釣具店で2000円ほどで購入できる廉価品で十分に楽しめるだろう。
また、タイドプールや漁港のスロープなどで使うなら、小型の手網(写真下)も使える。普通のタモ網よりも網目が細かいので、小魚を専門に狙うならこちらのほうがいいかもしれない。
ほかに必要な道具としては、獲物を入れるバケツ、そして、夜に楽しむなら懐中電灯も必需品だ。そして、とくに子供の場合は、万一の落水に備えてライフジャケット(救命胴衣)も着用するようにしよう。
タモすくいは波の静かな港内や堤防、小磯などで、足場のいい安全な場所ならどこでも楽しむことができる。とはいえ、魚の影も形も確認できない場所では望み薄だ。定期的に小魚の群れが回遊してきたり、物陰で魚が出入りしているような場所を探してみよう。
天候的には、安全に楽しむ意味でも無風でベタ凪の日がオススメ。もちろん、突然の大波やウネリが押し寄せないことも、場所選びの絶対条件だ。
獲物がいる場所さえ発見できれば、あとは網を海中に突っ込んで目当てのターゲットをすくえば良い。しかし、やたらに網を動かすだけでは疲れるだけで、なかなか獲物を捕ることができない。
そこで、たとえばイワシなどの回遊系の魚が見えている場合は、その動きや回遊してくるタイミングをよく観察し、獲物が近づいてきたときを狙って網を水中に突っ込んでやるとよい。大きな群れなら、まさに一網打尽で捕ることが可能だ。
海が濁って獲物が見えない場合は、魚が溜まりそうな堤防のカドやヘチ、小磯のタイドプール(潮溜まり)などに網を突っ込んで、適当にガサガサするだけでも小魚やカニ、小エビなどのいろいろな生き物がすくえる。
タモすくいをもっとディープに楽しむなら、ぜひ夜の海岸に出かけてみよう。暗くなった海面に懐中電灯の光を照らしてみると、意外なほどに多くの生き物を発見してビックリするかも知れない。海面には、ワタリガニやシャコ、イワシなどの小魚が悠然と泳ぎ回り、岸壁のヘチには、名前もよくわからない巻き貝やエビ類、イシガニなどがピッタリと身体を密着させているのだ。
魚を狙う場合はライトの光を消し、魚が回遊してくる場所に網を入れて待ち伏せするのがいい。ちょっとギャンブルな方法だが、記者の子供たちはこれで何度もイワシを大量ゲットしている。
港内のスロープにいる小エビやカニの場合は、ライトの光を当ててみよう。とくにエビは目が反射して居場所がすぐにわかる。タモ網をそ〜っと近づければ結構簡単に捕まえられるのだ。
なお、夜のタモすくいでは富山湾のホタルイカも定番ターゲットだが、これについては別項で紹介していく予定だ。
台風一過後、海が静かになってくれば小磯の潮溜まり(タイドプール)で、取り残された魚を発見できることがある。メバルや海タナゴが泳いでいるのは珍しくないし、ときにはアオリイカやイワシ、サバの群れが入っていることすらある。日中の魚の動きは素早いので、タモですくうのは難しいものの、これも遊びと思ってやれば最高にエキサイトできるのだ!
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)