ビーチコーミング

ビーチコーミング
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特徴

●夢が広がるビーチコーミング

「ビーチコーミング」ってご存知だろうか? コーミングの直訳は、「髪の毛を櫛(くし)でとく」。そこで、浜辺の砂を手の櫛でとくように漂着物を収集する趣味をこう呼んでいるのだ。漂着物といっても漠然としているが、貝殻や流木、ビーチグラス、化石、海綿、外国製の空きビンや空き缶、ハリの錆びたルアーやエギ、椰子の実などなど、さまざまなものがある。
そして不思議なことだが、同じように見える海岸でも貝殻ばかりが集まるスポット、ビーチグラスばかり溜まるエリア、土器や黒曜石を発見できる海岸など、場所によって発見できる漂着物に明らかな特異性があるのだ。これは、海流の影響や地質的な背景があるようだが、人間では想像もできない作用が海の中で起こっていると考えるほうが、夢があっていいかも知れない。

●ビーチコーミングで発見できる漂着物

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【貝殻】
浜辺で見つけられる一番の定番といえばコレ。場所によって流れ着く貝殻の種類は大小いろいろだが、色形のきれいなタカラガイやアコヤガイなどの仲間が人気だ。タカラガイは国内だけでも80種類以上が発見されていて、レア度の高い種類はマニアの間でもとても人気になっている。

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【椰子の実】
椰子(ヤシ)の実ほど、遙か南の島への想いをかき立ててくれる漂着物はないだろう。見つけるのは難しそうに思えるが、外海に面した海岸では、意外と発見率は高いそうだ。ちなみに、写真の椰子の実は東京湾まで流れてきたもの。

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【ビーチグラス】
捨てられたビンなどが、波や岩や砂の力で砕かれ、磨かれて、半透明のかけらになったもの。シーグラスともいう。エッジは丸くなっているので、素手で触っても危険なことはない。色や形、大きさなどはさまざまで、後述するようにビーチグラスでDIYをするのも楽しい。

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【骨、化石】
海岸では、イルカや鯨、ウミガメなどの骨、サメの歯などが見つかることも多い。また、イルカの耳骨の化石やカニの化石といった珍しいものが見つかることもある。

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【陶磁器】
海岸では陶磁器などの破片も多く発見できる。古いものから新しい物まで年代は幅広いが、古伊万里の破片などもビーチコーミングでは人気の漂着物だ。

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【流木】
遠い川の上流から流れてきたのか、それとも海辺の木が波で洗われたのか。さまざまな太さ長さ形の流木が、浜辺には数多く打ち上げられている。こちらも、クラフトの材料として活用する人が少なくない。

●ビーチコーミングが楽しめる場所

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波の静かな海岸であれば、全国どこでも一年中楽しめるのがビーチコーミング。ただし、実際に漂着物が流れ着きやすい場所と、そうでない場所があることは覚えておこう。
たとえば、海の潮の流れが直接ぶつかるような海岸には漂着物が多い傾向があるものの、岸から沖へと流れる「離岸流」が発生しやすいエリアではまったく漂着物がないケースもある。また、化石や土器などは海岸近くの砂底に沈んでいたものが波やウネリの作用で打ち上げられるため、地層的に隆起と沈降を繰り返してきた海岸や古代の人々が暮らしていた場所に多く見られる傾向がある。
これらのことを頭に入れつつ、自分なりに考えを巡らせながら海岸を探し歩くこともビーチコーミングの楽しみ方のひとつなのだ。

●ビーチコーミングの方法

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ビーチコーミングに特別なルールはなく、自分の好みのスタイルで楽しめば良い。ただし、海岸で投げ釣りをしている人に近づかない(危険防止のため)、私有地に入らないなどといった最低限のマナーは守りたい。また、浜辺にはクギが飛び出ている木片、新しいガラス片などの他、ゴンズイなどの毒魚が打ち上がっていることもあるので十分に注意しよう。
服装は、季節相応のものを着用すればOKだ。シューズは濡れた砂地を歩くことを考慮して、夏はマリンシューズ、冬は長靴などにすると快適。つま先が露出しているビーチサンダルなどは、ケガをする可能性があるので避けるのが無難だ。また、夏は帽子や日焼け止め対策、冬は防寒対策も忘れずに。
あると便利な持ち物としては、収穫物を入れるビニール袋、記録用のカメラやノート、タオル、生物図鑑、飲み物等がある。
実際のビーチコーミングのコツとしては、特定の小さなものを探すときは自分の目線を下げることで発見しやすくなる。たとえば、大量の貝殻が打ち上げられている中で特定のタカラガイなどを探す場合だ。こうした小物は、身長の低い子供のほうがオトナよりも発見率が高いことを覚えておこう。
ビーチコーミングでは、ある程度の博識的な知識があったほうが楽しめるかも知れない。その意味では、ビーチコーミングを体験できるツアーやイベントに参加してみるのも方法だろう。
たてやま海辺の鑑定団

●漂流物でDIYを楽しむ

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ビーチコーミングで見つけた漂着物は、単に収集して楽しむのも悪くないが、これらを利用してクラフトを楽しむ人も多い。漂着物は自然が長い時間をかけて作り出したものだけに、大きさも形もさまざま。同じ色形のビーチグラスはふたつとないし、流木だって形や長さ、曲がり具合はすべて違っている。だからこそ、自分が興味をひかれたモノで作るものは味があるのだ。
流木、貝殻、海藻、ビーチグラス、陶器片……。材料は何でもOK。それらが、どこからどのように流れ着いたのか想いをはせて、素材と対話しながら自分だけのオリジナルを作ってみよう。実用品でもオブジェでも、それを部屋の片隅に置いてみれば、海の潮騒が聞こえるような気がするのでは?
ちなみに、写真はビーチグラスで作った「ランプシェード」。空き缶などを型にして、ビーチグラスを木工用ボンドで張りながら積み上げていけば意外と簡単に作れる。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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