●小魚の「見釣り」が、釣りの上達に繋がる

たとえば、釣り人がひとりもいない冬の漁港。一見、何にも釣れなさそうに思えるが、試しに足元の水の中をじっくりと観察してみてほしい。最初は何も発見できないかも知れないが、3分ほどじっと水中をのぞいていると、これがビックリするのだが、じつにいろいろな小魚たちが姿を現してくれることが多いのだ。小メジナや小メバルなどのほか、南の島から海流に乗ってやってきた熱帯魚を発見することも珍しくない。
そして、この見えている小魚をあえて釣りの対象とすることによって、意外な場所に魚が隠れていることやエサの捕食方法、使いやすい仕掛けや的確なエサの使い分け方などを知ることができる。今後の釣りの上達にも、役立つこと間違いなしなのだ。
また、釣れた小魚は基本的にリリース（生きたまま逃がしてやること）前提で楽しみたいが、逃がす前に小型の水槽などに入れて観察してみることをオススメする。とくに子供の場合は、自分が釣った魚をよく観察することで、いろいろなことを発見するものだ。魚の目の位置や口の大きさ、体やヒレの動かし方、体色の変化など、大人では気づきにくいことをどんどん発見することで、これも将来的に釣りの上達につながるのである。

●見釣りの主な対象魚

【オヤビッチャ】
通常は南の海のサンゴ礁域に生息しており、夏〜秋に流れ藻などに乗って本州沿岸にやってくる季節回遊魚の一種。体長は最大で20センチまで成長するが、本州でよく見るのは5センチ前後。体側の５本の黒い横縞が特徴的。

【スズメダイの仲間】
オヤビッチャ同様の季節回遊魚の仲間。写真は「シチセンスズメダイ」と呼ばれる種類で、文字通り、横縞が七本ある。

【チョウチョウオ】
こちらも季節回遊魚で、夏以降、本州沿岸の小磯の潮だまりや港内などで見ることができる。体長は最大で20センチ。見た目に美しく、観賞魚としても人気だ。

【カゴカキダイ】
チョウチョウオの近縁種。季節回遊魚というわけではなく、本州中部以南で一年中見ることができる。体長20センチぐらいまで成長するが、幼魚の頃は潮だまりや港内の浅場でよく見かけられる。

【メバル】
海釣りの対象魚としては、かなりの人気を誇るメバル。大型はなかなか釣るのは難しいが、港内に群れている小型のメバルは比較的イージーに釣ることができる。

【ニシキベラ】
小型のニシキベラは港内に群れていることが多いので、ベラの仲間ではもっとも釣りやすい。