トコロテン作り

トコロテン作り
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釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

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特徴

●「寒天」は海の幸だった……

「トコロテン」の原料って、何だかご存知だろうか? その答えは、海の小磯などに生える「テングサ(天草)」と呼ばれる海藻。これを天日でよく乾燥させてから煮出し、その煮汁を固めたものがトコロテンになるのだ。ちなみに、寒天というのは、テングサでトコロテンを作り、それを凍結・乾燥させたもの。
トコロテンはダイエット食品として知られているが、海のミネラル分もたっぷり含まれていて、体調を整えるのにも役立つといわれる。もちろん、子供のおやつとしても超ヘルシーだ。釣りが終わったら、海岸で少量のテングサを拾って持ち帰り、家族でトコロテンやアンミツを作って味わうことも、海のありがたみを知る一環になるだろう。

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【テングサの基礎知識】
テングサは日本各地の磯場に分布しており、長さは10〜30㎝ほど、色は赤紫色だ。厳密にいうと、テングサにはマクサ、オオブサ、オニクサなどたくさんの種類があるが、どれも下の写真のように細かく枝分かれしている。種類によってトコロテンの固さや弾力が変わってくるので、いろいろと試してみるのも楽しそうだ。

●海岸に流れ着いたテングサを拾う

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テングサは、主に水深の浅い岩場に生えているが、地域によってはテングサの採取が禁止されているので、波でちぎれて浜辺に流れ着いたものを拾うのが無難だ。時期的には、春〜初夏のテングサがトコロテンに向くとされる。ひとつかみのテングサで、5〜6人分のトコロテンが作れるだろう。

●雨ざらしにする

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採取してきたテングサは、そのままではまだ使えない。屋外に放置し、雨ざらしと乾燥を繰り返すことによってトコロテンの成分を抽出できるようになるのだ。具体的には、テングサを真水でよく洗ってから風通しのいい場所でよく乾燥させ、再び真水で洗っては干しを繰り返すこと約二週間(作業が面倒なら、単に雨ざらしにしておけばOK)。だんだん色が抜けて薄黄色になってきたら完成だ。
ちなみに、テングサを洗わずに干すと赤い色が残ったままの状態になるが、これを少量ブレンドすると少し色味の付いた磯の香りの残るトコロテンができる。
いずれも完全に乾燥させたものは、ビニール袋などで湿気を防いで保存すれば3年くらいは味も風味も変わらない。寝かせたテングサほど味がいいと言う人もいる。

●トコロテンの作り方

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1 乾燥したテングサを真水に浸してよく洗い、テングサひとつかみに対して1リットル程度の水で煮る。

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2 一度沸騰させてから、火を弱めて煮ていく。ここで、お酢を大さじ1杯ほど入れる方法もある。酢はテングサのエキスを抽出する作用があるのだ。ただし、入れ過ぎはテングサの風味を消してしまうのでほどほどに。

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3 弱火で30〜40分ほど煮て、汁が少し色づいてトロリとしてきたらフキンなどで煮汁をこす。汁は熱いのでヤケドに注意!

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4 煮汁の粗熱が取れたら、型に流し込む。室温でも固まるが、冷蔵庫に入れるとより早く固まる。

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5 細長い棒状に切って、トコロテン突きで押し出せばトコロテンの完成。大人は酢醤油をかけて、子供は黒蜜をかけたりフルーツの缶詰と混ぜたりするといいだろう。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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