身近な河川で釣れるターゲットのひとつに「オイカワ」がいる。体長10〜15センチ程度、大きくても20センチほどの小魚ではあるが、初心者にとっては手軽に遊べる貴重な存在だ。釣り方はいろいろあるが、その基本となるのが「ノベ竿のウキ釣り」。ここでは、ビギナーでもすぐにマスターできる基本的なテクニックを解説していこう!
ノベ竿で楽しむ河川のウキ釣り

- 分 類-
- 学 名-
- 英 名-
- 別 名-
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●オイカワ釣りが楽しめるフィールドと季節

イカワ(関東では「ヤマベ」、関西では「ハエ」と呼ぶほうが、釣り人には通りがいい)は、本州から九州までの各地の河川に生息している。基本的には水のきれいな清流域を好む一方、東京都下を流れる多摩川のような河川の中〜下流域にも数多く生息しているので、安・近・短で楽しむには最高のターゲットだ。
一年中釣れる魚で、とくに釣りやすいのは魚の活性が高まる初夏〜秋。初めてチャレンジするなら、この時期を選ぶのがいいだろう。
●使用する竿と道具類

【竿】
軽量で扱いやすい「清流竿」を使用する(「ハエ竿」の名称で売られていることもある)。長さは3.6〜4.5mが標準。釣り場の規模に応じて竿の長さを使い分けるのが理想だが、とりあえず4.2mがあれば万能に使えるだろう。ちなみに、この竿があればほかの川釣りや堤防釣りなどにも流用することができる。

【ビク】
釣り上げたオイカワは、持ち帰るにしても逃がしてやるにしても、とりあえずは網製のビクに入れておくと魚を弱らせない。下部がズック製の箱になっているタイプなら水が漏らないので、魚を入れたまま移動するのも便利。

【サシ入れ】
オイカワ釣りの定番エサである「サシ」を入れるための専用のエサ箱。これをヒモで首に下げておけば、エサ付けの速度も早くなる。

【寄せエサ入れ】
オイカワの群れを寄せ集めるためのエサを収納しておくための容器。小型のバケツやバッカンなどでOKだ。

【長靴】
岸から釣るなら、靴は滑りにくいスニーカーでもいいが、水ぎわやぬかるんだ場所などから釣る場合は長靴が必要になる。
●オイカワ釣りの仕掛け

どこの釣り場でもオールマイティに使える仕掛け。できれば自分で作れるようになりたいが、最初は市販の完成仕掛けを使うと便利だ。ウキ下は、水深よりも10㎝前後短くするのが基本。
●仕掛け作りのパーツ類

【トウガラシウキ】
木製のトウガラシウキは、ある程度速い流れの中でもアタリを取りやすいのがメリット。ミチイトへのセットも簡単だ。サイズは長さ6〜8センチが標準。なお、流れの緩いポイントでは感度に優れた発泡ウキを使う方法もあるが、仕掛けが複雑になるのでここでは割愛する。

【オモリ】
ウキの浮力調整がしやすい板オモリを使用する。厚さは0.2〜0.25ミリが標準。

【ハリス止め】
小型で糸絡みしにくいシンプルなものがお勧め。

【ハリ】
袖バリの3号が基本。練りエサを使う場合は、カエシのないスレバリを使うこともある。いずれの場合も、ハリスは0.3〜0.4号が標準となる。
●仕掛け作りの方法

【ウキの装着】
ミチイトにゴム管を通し、トウガラシウキの脚を差し込んでセットする。ウキ下を調整するときは、ゴム管部分を持って上下に動かせば良い。

【オモリの装着】
板オモリは、ハサミで台形にカットしてからミチイトに円筒状に巻けば良い。オモリの表面にデコボコができないようにていねいに巻くと、水中でオモリにハリスが絡みにくくなる。

【ハリスの装着】
ハリス止めには、ハリスを真っ直ぐにセットするのが正解。ここが折り曲がってしまうと、強度が落ちてしまうのだ。
●ウキ下の調整

仕掛けを作り終えたら、一度、水面に浮かべてウキの浮力調整を行う。写真の左のように、ウキのボディが水面ギリギリに浮かぶようにオモリを少しずつカットしながら調整したい。右はオモリが軽すぎる状態なので、巻いてある板オモリを少し剥がして、そこに小さくカットした板オモリを入れて巻き直すと良い。
●付けエサの種類

【サシ】
オイカワ釣りの定番エサ。ハリに付けるときは、お尻の部分をチョン掛けにするとよい。オイカワに体液を吸われてしまったら、マメに交換することが大切。

【練りエサ】
流れの緩いポイントでは、集魚効果がある練りエサもよく使われる。釣具店で売られているチューブタイプを使うと便利だ。ハリ先に3〜4ミリ程度の大きさに丸く付ける。

【川虫】
早瀬などの流れの速いポイントでは、川虫が最高のエサになる。これはカゲロウなどの幼虫の総称で、川石の裏側に張り付いているものを採取して使う。これもお尻の部分をチョン掛けにすれば良い。

【寄せエサ】
オイカワ釣りでは、狙ったポイントに魚を集めて食い気を高めるために「寄せエサ」を使うことが多い。自作も可能だが、市販品を使うのが便利だ。市販品の場合、ダンゴ状になっていてすぐに使えるタイプと、指定量の水で練って使うタイプがある。後者の場合は、テニスボールほどの大きさに握って使用する。
●狙ってみたい主なポイント

【カケアガリ】
比較的大きな河川の場合は、岸から流心に向かって川底が斜面になっている「カケアガリ」の部分にオイカワが集まりやすい。水深が1〜1.5m程度の場所が釣りやすいだろう。

【トロ場】
流れの緩やかなトロ場は寄せエサが効きやすく、1ケ所で入れ食いになることもある。秋〜冬にかけてが狙い目。
●実際の釣り方

【まずは、寄せエサで魚の群れを寄せる】
オイカワ釣りでは多くの場合、寄せエサの打ち込みから釣りが始まる。とくに大きな河川では、どんなに好ポイントでも、ある程度オイカワを集めてからでないと効率のいい釣りを楽しめないためだ。
寄せエサを打ち込むときは、投入する場所が重要。まず、試しに自分が決めたポイントの少し上流に寄せエサのダンゴを投げてみる。ダンゴは徐々に沈下しながら下流に流されていくが、その流れのスピードと水深によってダンゴがどこに着底するかを推測する。ダンゴが着底する理想の位置は、実際に釣るポイントの正面からその上流50㎝ぐらいまでの間。したがって、その位置から逆算して、ダンゴの投入位置を決めればいいことになる。
釣り始めにダンゴを集中的に3〜4個打ち込み、あとはポイントを休ませながら仕掛けやタックルを準備する。ダンゴを投入してから5〜10分もすれば、どこからともなくオイカワの群れが寄ってくる。
なお、ダンゴがすぐに流れてしまう場合は、ダンゴの中に小石を入れてやると流れに負けにくくなるので試してみよう。

【仕掛けの投入】
オイカワ用の仕掛けは軽量なので、投入するときは竿の弾力を活かすことが大切。一番簡単なのは、自分の頭上に竿先で円を描くように小さく振り回して投げる方法。力を入れるとうまく飛ばないので、軽く竿を振るイメージで投入してみよう。小学生でも、10分ほど練習すればマスターできるはずだ。

【仕掛けの流し方】
寄せエサが効いている少し上流側に仕掛けを投入し、ウキが水面に立ったらそのまま自然の状態で流してやる。ときどきミチイトを軽く張って誘いを掛けてやるのも有効だ。
ウキ下(ウキからエサまでの距離)は、水深よりも少しだけ短くするのが基本。仕掛けを流すときにいつも同じ場所でウキが変な動きをしたら川底にハリやオモリが届いているので、適宜、短くしていこう。

【オイカワのアタリ】
オイカワが寄せエサに集まっていれば、すぐにでもウキにアタリが出るはずだ。オイカワのアタリで多いのは、イラストのようにウキが数回上下してから水中に沈み込むパターン。一番右の状態になった時が、アワセのタイミングだ。また、ウキが上方向に浮いてくる「食い上げ」のアタリも少なくない。
いずれの場合も、アワセの方法は軽く竿を立ててやるだけでOK。激しいアワセは魚を驚かせてしまうので注意しよう。
魚がハリ掛りしたら、そのままさらに竿を立てて魚を引き抜き、竿を持つ反対側の手で受け取れば良い。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)